メグミロク

英検1級保持者・日米交歓ディベート 日本代表が英語教育やディベートについてデータを用いながら解説するブログです。

英語リーディングの勉強に使える無料サイト

皆さんこんにちは!突然ですが英語のリーディングってどうやって勉強していますか?

私のところには以下のような質問がよくきます。

・英語を勉強したいけど、どうやって良いか分からない

・無料で学習ができるサイトを教えてほしい

・色んなサイトがあるのは知ってるけどどれを使ったらいいか分からない

・やろうと思ってるけど続かない 

 

今日はそんなあなたに向けて英語のリーディングに使えるウェブサイトをご紹介します!もちろん全て無料です!それぞれの良い点悪い点なども書いていくので参考にして下さい!

 

 

リーディングで大切なこと

リーディングでもっとも重要なことは量を読むことです。しかし、何でもかんでも読めばいいということではありません。知らない単語だらけのリーディングをするのは時間の無駄です。目安は「知らない単語が100語に2語以下の文章」です(Nation, P. 2013. What should every EFL teacher know? Compass Publishing.)。

いちいち数えてられるか! って思ったそこのあなたは、これを基準にしてください。

  • Can I read it without a dictionary? (辞書なしで読めるか)
  • Am I reading it quickly? (十分な速さで読めるか)
  • Do I understand almost everything? (内容をほとんど理解できているか)

(https://erfoundation.org/wordpress/graded-readers/erf-graded-reader-scale/を参考に筆者訳)

もちろん知らない単語をその都度辞書で確認しながら読んでも良いのですが、時間がかかりますし、続かない人も多いのではないでしょうか。

従ってまずは自分にあったレベルから進めて「とにかくどんどん読むこと」をお勧めします。そのためには自分の興味のあるテーマを選んで読み進めることが最も続く方法です。

ではここから、大量の英文を読むことができるサイトを紹介していきます。

 

英語初級者から中級者まで使える The Extensive Reading Foundation

長所

・レベル分けされている

・多くの物語を収録している

・中級者まではかなり充実したリーディングができる

・初級者用のリーディングにはクイズもついている

 

短所

・物語に絵が全くない

 

ウェブサイト

erfoundation.org

使い方

・上記のURLをクリックして開く

・下の方に行くとBeginner Texts(初級者向け)とIntermediate level material(中級者向け)があるのでそれぞれ好きな方の物語をクリック

・学習開始

初級者から上級者まで使える Free Graded Readers

長所

・レベル分けされている

・初級者の本には絵も入っているので読みやすい

・上級者にはもってこいのテキストが無料でたくさんある

 

短所

・読める物語が少ない

 

ウェブサイト

https://freegradedreaders.com/wordpress/

 

使い方

・上記のURLをクリックして開く

・ページの上部にあるA1からC2までで自分のレベルをクリックする(レベルについては下記の表を参照)

f:id:Megumiroku:20210322154253p:plain

参考 文部科学省

https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/03/__icsFiles/afieldfile/2019/01/15/1402610_1.pdf

・出てきた本で読みたいものを選択肢して読む

 

中級者から上級者向け ニュース記事が読めるVOA

長所

・レベル分けされている

・最新のニュース記事が読める

・難しい言葉もあるが下の方で解説がある

・内容が面白いものも多い

 

短所

・音声で読んでくれる機能があるがめちゃくちゃ遅い

・中級者にはやや難解かも

 

ウェブサイト

learningenglish.voanews.com 

使い方

・上記のURLをクリックして開く

・好きなテーマを選び、クリック

・テーマの中で面白そうだと思う記事を選択し学習開始

 

まとめ

いかがだったでしょうか。リーディングはとにかく続けて読むことが肝心です。読んで読んで読みまくりましょう!たまに発音してみたり、その物語や記事への感想を英語で話してみる、書いてみるなどすると4技能バランスよく鍛えられていきます。一緒に楽しく読んでいきましょう!

英語リスニングの勉強に使える無料サイト

皆さんこんにちは!突然ですが英語のリスニングってどうやって勉強していますか?

私のところには以下のような質問がよくきます。

・英語を勉強したいけど、どうやって良いか分からない

・無料で学習ができるサイトを教えてほしい

・色んなサイトがあるのは知ってるけどどれを使ったらいいか分からない

・やろうと思ってるけど続かない 

今日はそんなあなたに向けて英語のリスニングに使えるウェブサイトをご紹介します!もちろん全て無料です!それぞれの良い点悪い点なども書いていくので参考にして下さい!

 

   

イギリス英語が学べるBBC Learning English

長所

・イギリス英語が聞ける

・学べる内容が多い(ニュースや物語のようなものもある)

・文法を英語で学ぶこともできる

スクリプトがあるので、分からない単語を確認したり音読をしたりできる 

短所

・イギリス英語が中心であるので他の英語に触れられない

・ウェブサイトがやや難解

 

www.bbc.co.uk

 

使い方

1. 上のサイトにアクセスをする

2. サイトを下の方にスクロールしていくとEnglish for everyday situationsの中に6 minutes Englishがあるのでクリック

f:id:Megumiroku:20210321020014p:plain


 3. 好きなアクティビティを選んで学習を開始する(毎週1つのビデオがアップロードされている)

リスニングのやり方(1つの例)

・This week's questionに答えてみる

ボキャブラリーやフレーズを確認する

・聞いた内容を英語で要約する

・音読(スクリプトを見ながら、または、シャドーイング)

 

色々な英語が聞けるELLLO - English Listening Lesson Library Online

長所

・色々な英語(アメリカ、イギリス、カナダなど)に触れることができる

・自然な会話が聞ける

・レベル別になっているのでわかりやすい

・語彙、クイズ、スクリプトが簡単にみられる

・語彙学習する機会がしっかり用意されている

短所

スクリプトがpdfではない(印刷に不便?)

 

elllo.org 

使い方

1. 上のサイトにアクセスをする

2. サイトの上の方にあるLevelsをクリックし自分のレベルに合わせた学習内容を選択する

f:id:Megumiroku:20210321021447p:plain

 3. 好きなアクティビティを選んで学習を開始する

リスニングのやり方(1つの例)

・Quizに答えてみる

ボキャブラリーやフレーズを確認する(発音も出るので便利)

・聞いた内容を英語で要約する

・音読(スクリプトを見ながら、または、シャドーイング)

 

面白い会話が聞ける Randall's ESL Cyber Listening Lab

長所 

・Easy, Intermediate, Difficultから選べる

・1日5分からできる

・会話が面白い

スクリプトがあるので、分からない単語を確認したり音読をしたりできる

短所

・たまに設問がおかしい

・音声が聞き取りにくい時もある

 

www.esl-lab.com 

使い方

1. 上のサイトにアクセスをする

2. サイトの下の方からレベルを選ぶ(Easy:初級、Intermidiate:中級、Difficult:上級)

f:id:Megumiroku:20210316131026p:plain

 3. 好きなアクティビティを選んで学習を開始する

 

リスニングのやり方(1つの例)

・用意されている質問に答えてみる

・もう一度聞いてみて、聞いた内容を英語で要約する

・音読(スクリプトを見ながら、または、シャドーイング)

・分からない語彙やフレーズの確認

 

好きな音楽から学べるLearn Languages with Music Videos, Lyrics and Karaoke! 

長所

・好きな音楽でリスニングができる

・単語のスペルの勉強にもなる

・レベルが選べる

短所

・歌なのでリスニングとしては難易度が高い

スクリプトのようなものはない

・注意するべき語彙などは教えてくれない

lyricstraining.com

使い方

1. 上のサイトにアクセスをする

2. サイトの上の方にあるGO TO WEBをクリックしサイトを立ち上げる

f:id:Megumiroku:20210321021851p:plain


 3. 検索の欄に自分の好きな曲を入れて学習を開始する

 

まとめ

巷にはさまざまな英語の本が溢れていて色々な勉強法を教えてくれます。ただ、なかなか行動に結びつかない方もいるんではないでしょうか。せっかく最後まで読んでいただいたのに、「やった気」になってしまったらもったいないです。是非今日紹介したものを1つでもやってみましょう。そして続けてやってみましょう。きっとあなたなりの勉強方法が見つかるはずです。

 

 

 

2021年 共通テスト 英語リーディング解説

2021年1月16日から2日間に渡り大学入学共通テストが行われました。

これは今まであった大学入試センター試験と実質同じようなものですが、問題形式にも多少変更がありました。

今回は中学と高校で英語を教えているものとして、英語のリーディングがどのようなものだったのか、今後の受験生がどのような勉強を求められているのかを書き記します。是非問題を一通り解いて見てから振り返りとして読んでいただくのが良いと思います。

 

目次

 

問題形式の変更について

問題形式がどのように変わったかは様々なところで書かれているので、ここでは詳細には語りません。端的に変更点を書くならば、発音やアクセントの単独問題はなく、全体で6ページ増えました。SNSやホームページなど現代の多様なデジタル情報から読み取ったり、複数の資料を元に考えたりする実用的な出題が目立ち、英文の内容をストレートに問うような出題は減りました。

 

ポイントは4つあります。

  1. リーディングは読む量が増え、全てが読解の問題
  2. TOEICのような情報を複合的に収集して解く問題と長文の問題
  3. イギリス英語などアメリカ英語偏重ではない問題
  4. 日常生活で使いそうな場面設定の問題

 リーディングの量が増えたということは、80分をどう使うかがより一層大切になってくるということです。また提示されている2つの記事を読まないと正解にたどり着けないような情報を合わせることで解ける問題も多く見られました。イギリス英語はスペル(Center⇆Centre、Realize⇆Realise)や単語(Construction⇆Roadworks)が少し違うだけなので、問題を解く上で障壁になることはないと思います。ただ、こんなスペルもあるんだ、ということは知っておくようにしましょう。今回はチャット、インターネットのファンクラブサイトのように普段私たちがよく使う場面の問題が多く出題されました。下で詳しく書いていますが、各セクションにある「問題形式への対策」のコーナーを見て日常から英語に触れておくといいかもしれません。

 

どこで問題を見ることができるのか

問題と解答は朝日新聞社か東進のウェブサイトから入手することができます。pdfで各大問を保存することもできるので非常に便利です。また両ウェブサイトでは問題の分析がなされているので、そこも是非参考にしてください。

www.asahi.com

www.toshin.com

受験生の皆さんは問題を印刷する事をお勧めします。本番は紙でやるわけですし、重要なところに丸やしるしをつけることもできます。では、前置きはここまでにして実際の問題に入っていきましょう。

 

全体として重要なこと

問題を解く上で大切な事を以下に列挙します。予備校などでも同じようなことが言われているかもしれませんし、言われてないかもしれません。あくまで私の経験からですので悪しからず!

  1. 何よりもまず初めに何についてなのかを把握する
  2. 文章を読む前に「問い」を先にみる
  3. 出来事が起った順番を聞いてくる問は、問題文で該当箇所に線を引く
  4. 4択で正解となっているのはだいたい「言い換え」がなされていることに注意

それぞれの意味は下記の問題を解説しながら詳しく説明していきます。なおこの記事ではスキルやテクニックに焦点を当てるだけでなく長期的な英語学習に役立つサイトも紹介していきます。

 

リーディング第1問 (配点10点)

問題の種類

Aではスマホ上のメッセージのやり取りをみて内容理解、そして次にメッセージを送るとしたら何かという少し発展的な内容が含まれています。Bではファンクラブのウェブサイトを見てファンクラブのメンバーがどのような特典が得られるのかを中心に内容理解を問う問題があります。

問題の解き方

問題の解き方としてはまず、Aでは"Your dormitory roommate Julie has a text message to your mobile phone with a request."を読み何がこれから書かれるのかを推測します。その後問1と問2の質問文を見て、何が聞かれるのかを理解します。最後に文章を読みます。同様にBも初めにテキストが何についてなのかを理解し、質問を先に読みます。あとは必要な情報をテキストから探すことになります。

比較的短い文章です。あまり時間はかけられませんがミスのないように丁寧に解答しましょう。

問題形式への対策

Aに関しては日頃から友達とのラインを英語にしてみましょう。きっと同じような状況に出くわすことがあるはずです。Bのようなwebsiteはインターネットでたくさん見つけることができます。自分の好きな海外のアーティストやスポーツ選手のファンクラブをのぞいてみるといいかもしれません。

またNetflixAmazon PrimeなどのサブスクリプションについてのWebページも参考になると思います。

ここでは2つのサイトを紹介します。

Disneyのファンクラブ

d23.com

 

アマゾンプライム

www.amazon.com

リーディング第2問 (配点20点)

問題の種類

様々な情報から解答を得るタイプの問題です。Aはバンド大会のスコア結果、各個人のジャッジの評価、そして総合的なジャッジの判断を読み問題をときます。Fact(事実)なのかopinion(意見)なのかを区別する問題が含まれます。Bは新しい学校方針に関する生徒会長と校長先生のやり取りを読み解く問題です。両方の情報を統合しながら解答を求めなければならないのが第1問とは異なる点です。

問題の解き方

解き方は基本的には変わりません。しかし、今回は3つの情報を統合して問題を解かなければなりません。情報量が多くなるからこそ各情報で何が大切なのかを見極めないといけないですね。問いを最初に確認しどんなことが聞かれているのかに目を通します。 

問題形式への対策

TOEICのリーディングパート7を解いてみることをオススメします。特にBのようなメールのやり取りはTOEICでは頻出です。少ない時間でどのように必要な情報を取り出すかにはある程度訓練が必要です。何度も解いてみると、どこを探せば良いかわかるようになってきます。

 

例えば、設問1であればどのバンドが一番うまく歌ったかを聞いているので1番上の表「Judges' final average scores 」だけを見て答えることができます。 一方、設問5は「Judges' final average scores 」に加え、「Judges' shared evaluation」の表も参照しなければなりません。どの情報がどこに書いてあるのか、どの表を見れば分かるのかを瞬時に判断できる力を養いましょう。

 

またここではfact(事実)とopinion(意見)を区別する問題も出ました。

factは真実である、証明することができるなどの特徴を持っています。

opinionは個人的で他の人が反対(disagree)できる内容を含んでいます。

 

この2つの違いは思っているよりも難しいですが、「一般的に全員が賛成するもの」、「状況についての客観的な説明」は事実、「私は反対ですと言える文章」、「good、wellなどを使用した文章」は意見だと覚えましょう。

 

リーディング第3問 (配点15点)

問題の種類

Aはホテルに泊まる際のアドバイスを読み、図の情報と合わせて解く出題があります。Bはボランティア活動の募集に関する学校のニュースレターを読み、文章の中での時系列に沿って選択肢を並び替えたり、正しい内容を読み取ったりする問題が出題されています。段落ごとの内容を順序だてて理解する力が求められます。

(https://www.toshin.com/kyotsutest/analysis_reading.htmlを筆者一部改定)

 

問題の解き方

Aの解き方

設問を見るとAの問1はAlexの書いた文章の総合的な内容、問2は具体的な時間が鍵になってくることがわかります。こう言った場合は、下にある図に文章で読み取った情報を書く、またはしるしをつけることをオススメします。例えば、Victoria行きのOrange Lineへ乗り換えるのには通常7分かかると書いてあります。このような問題ではこのような細かい時間が大切になってくるので必ず分かるようにしておきましょう。また可能であればAlexは余計に5分かかったなどの情報もメモしておきましょう。こうすることで設問に正しく答えることができるでしょう。

また計算に時間がかかるようだったら飛ばしてしまうのも一つの手かもしれません。

Bの解き方

まずは設問を読みます。するとイベントの順番を考える問題があります。このような問題では「時を表す副詞句」を参考にしてみてください。例えば、a few months ago, last monthというフレーズを見ればどちらが先に起こったイベントかが理解できます。このように全てを均等に読むのではなく大切なフレーズを理解して読み進めることが肝要です。

 

問題形式への対策

海外の予約サイトなどに触れましょう。下記のサイトでは色々なホテルのレビューを見ることができます。このようなサイトを眺めるとよく出てくるフレーズを学ぶことができます。inexpensive, affordable, economical, cheapなどの類義語もおさえるようにしましょう

 

Booking. comのサイト

www.booking.com

 

 

リーディング第4問 (配点16点)

問題の種類

メールのやり取りと、添付された図表を見て、やり取りの趣旨を読み取る問題。2通のメールの内容を照合して判断する問題や、メールの本文と時刻表やグラフの情報を組み合わせて答える問題のほか、メールの趣旨から考えられる提案を推測して答える問題など、複数の情報源の中から必要な情報を読み取り、総合的に判断する思考力が問われている。(https://www.toshin.com/kyotsutest/analysis_reading.html)
 

問題の解き方

設問を読むとどのバスに乗るか、どの順序で行くかなど詳細を読み取る必要性が理解できます。こういう場合、筆者は読みながら読んだ内容をすぐメモします。例えば、Westside Aquarium について"the best time to visit will be when it is least busy"と書いてあれば、すぐに下のグラフにいって一番人の少ない時間帯(15:00-16:00)にチェックします。こうすることでいちいち問題に戻らなくてよく結果的に時間を省略できます

同様にそれぞれの場所がどこの近くにあるのかについてもしるしをつけておきましょう。例えば、Azuma Memorial Parkであれば学校の近く、West Mall であればHibari stationの近くというようにです。これをするためにも設問を最初に読んで、どんな情報が必要かを考えることがとても重要になってきます。

問題形式への対策

 リーディング第2問と同様の対策で良いかと思います。

リーディング第5問 (配点15点)

問題の種類

プレゼンテーションコンテストに参加する準備として、ある人物について書かれたレポート記事を読み、出来事を時系列に沿って整理したり、プレゼンテーションスライドの空所にあてはまる内容を選択したりする問題。複数の選択肢を解答する問題や登場人物を整理する問題など、新しい出題形式が見られた。文中の出来事を1つずつ追いながら、本文の概要を理解する力が求められる。(https://www.toshin.com/kyotsutest/analysis_reading.html)

問題の解き方

登場人物をしっかりと整理しましょう。つまり、Baby bull = 309 = Aston、Pony = Leonというような言い換えに注意して物語を追いましょう。物語では代名詞のheやitが誰/何を指すのかが大変重要です。それを理解できれば何(誰)が何を成し遂げたかがより正確に理解でき問題が解きやすくなるでしょう。

問題形式への対策

色々なショートストーリーズに触れましょう。下記のサイトではお話を読んだ後に内容のチェックシートがあり自分で勉強ができるようになっています。

learnenglish.britishcouncil.org

また筆者オススメの小説も併せて紹介します。小説といってもこちらはそれなりの長さがあるので、少しずつ読んでみましょう。

意味がわかるとゾッとする"The lottery"。くじ引きとはなんなのでしょうか?全て下記のサイトで読めるのでぜひ読んでみてください。

www.newyorker.com

 

人の温かみと死を感じる名作も是非読んでみてください。

www.classicshorts.com

リーディング第6問 (配点24点) 

問題の種類

説明的文章を読み、その要点や概要を把握する問題。Aはスポーツの安全性についての記事をもとに、概要をまとめたポスターを完成させる問題が出題されている。また、Bでは甘味料についての英文を読んで、内容についての質問に答える問題や表をまとめる問題が出題されている。単に英文を理解するだけでなく、文章の論理展開を把握したり、要約したりする力が問われている。(https://www.toshin.com/kyotsutest/analysis_reading.html)

問題の解き方

他の大問と同じく設問→問題文の順番にみていきます。大問6のようなニュース記事では各段落の最初の文を読むとその段落で何が言いたいのかが分かるようになっています。例えば、2段落目では最初に"The speed of the sport and the slippery of the ice rink make it easy for players to fall down or bump into each other resulting in a variety of injuries."という長い一文が出てきます。これを読めばこの後にそれを防ぐための予防策や怪我の内容が書かれるという推察ができます。それを手がかりに問題を解いていくことをオススメします。

問題形式への対策

日頃からニュース記事などある程度の長い文章+具体的な数字や専門用語が出てくる文章を読み文章がどのように作られているかを理解しましょう。そして自分が問題を作る人だったらどんな問題を出すかと考えてみると良いです。

 

ただいきなり海外のニュースを読むのは難しいのでそういう方にオススメのサイトを紹介します。

 

このサイトではレベルに応じた単語でニュースを読むことができます。リンクではIntermidiate(中級)を引用していますが、簡単すぎる場合は上級ものぞいてみてください。

learningenglish.voanews.com

 

時間があまり取れない方はこちらでも学習ができます。

www.bbc.co.uk

 

 出題に当たっての重要単語

第1: latest news (最新のニュース), delivery fee (送料), either A or B (〜か〜か) 

第2: competition (コンクール), incredible (信じられない), On behalf of (〜を代理して、代表して)

第3: inexpensive (安い), recommend (勧める), transfer (乗り換える), roadworks ([英]道路工事), residents (在住者), reject (拒絶する/断る), passers-by (通行人), make a difference (重要である)

第4: attached (添付の), botanical (植物の), statue (像), unless 〜(〜でなければ)

第5: pregnant (妊娠している), permission (許可), no longer painful (もはや痛くない), on command (指令で), in particular (特に/とりわけ), massive (大量の), 

第6: rubber (ゴムの), slippery (滑りやすい), concussion (脳震盪), suspensions and fines (出場停止と罰金), abundant (豊富な), artificial (人口の), excessive (過度の), substitutes (代用品), suit (適する), circumstance (環境)

 総括

いかがでしたでしょうか。かなり長くなってしまいましたね。 これを読んで少しでも解き方が分かった!対策が分かったとなれば嬉しいです。

言語の学習は一夜漬けてできるようにはなりません。これはどんなスポーツでも楽器でも一緒です。毎日少しずつでもその言語に触れていくことをオススメします。

何か質問があれば気軽にコメントください。

では、また!!

 

 

 

 

What is normalcy bias?

Hello. This is Megumiroku. It is my first time publishing a blog in English, so I am really excited! It is a quite long blog, but I guarantee you that you will learn something new from this!

 

Recently, a new coronavirus (COVID-19) has had a serious impact on economy and society. While a great deal of news is shared via multiple media, fake news and false rumor are also spreading on a large scale. 

 In such a situation, there is one TEDx talk that inspires me greatly. Today, I would like to share it with you. But, first of all, let me explain TED and TEDx. If you have already known those two, please start reading from "what is normalcy bias."

 

1. What is TED / TEDx?

 I am sure many of you have already heard of TED. For those of you who do not know about TED, I would like to briefly introduce what TED is. The official webpage indicates:

TED is a nonprofit devoted to spreading ideas, usually in the form of short, powerful talks (18 minutes or less). TED began in 1984 as a conference where Technology, Entertainment and Design converged, and today covers almost all topics — from science to business to global issues — in more than 100 languages. Meanwhile, independently run TEDx events help share ideas in communities around the world. 

(TED webpage, April, 4th, 2020 access, retreived from  https://www.ted.com/about/our-organization)

 

 Did you know that TED stands for Technology, Entertainment, and Design? Simply put, TED is a nonprofit organization whose mission is to spread ideas.

By the way, there are a few sentences describing TEDx. (What the heck is it??) Since the video I am going to share today is a TEDx talk, I would like to explain TEDx too. 

 

A TEDx event is a local gathering where live TED-like talks and performances are shared with the community. TEDx events are fully planned and coordinated independently, on a community-by-community basis. The content and design of each TEDx event is unique and developed independently, but all of them have features in common. 

 (TED webpage, April, 4th, 2020 accesshttps://www.ted.com/about/our-organizationhttps://www.ted.com/participate/organize-a-local-tedx-event/before-you-start/what-is-a-tedx-event )  

 

Features in common here include "TED's format", "Diversity of topics", and "Community-driven and bias-free content." Therefore, TEDx is a TED-like local event that carries the same mission as TED "spreading ideas."

 Now, let's move on to the content. What we need to think about in the current situation is what is called "normalcy bias." 

 

2. What is normalcy bias?

 Normalcy bias is a psychological technical term and is defined as

a psychological state of denial people enter in the event of a disaster, as a result of which they underestimate the possibility of the disaster actually happening, and its effects on their life and property. Their denial is based on the assumption that if the disaster has not occurred until now, it will never occur.

PsycholoGenie, April, 4th, 2020 accesshttps://psychologenie.com/insight-into-concept-of-normalcy-bias-in-psychology 

 I see. This may apply to the current situation. So normalcy bias is a psychological state that underestimates the situation, which can be very dangerous. Detailed information can be found from the link above. 

 

3. TEDx today

Today's TEDx talk is performed by Megumi Tsuchihashi in 2018. The title of the talk is "Killed by yourself." 

Isn't it an intense title? I am sure you can't wait to hear her speech!

I contacted her and got permission from her this time; she agreed with my opening script to public. She talks about how normalcy bias affects us, how we can prevent from this happening. 

 

Now, please enjoy the TEDx talk associating with the current corona-spreading circumstances!!!

 

youtu.be

 

 The script is shown below:

 

             The sound of a string quartet traveled through the world’s largest unsinkable liner, the Titanic.  The sound and the mood made people forget they were in the middle of the ocean.  People were happily dancing, eating and drinking.  A few hours later, crash!  The Titanic had collided with an iceberg and started to sink.  However, there were not enough lifeboats for everyone.  As a result, approximately 1500 out of 2200 people sank to the bottom of the sea.  Why didn’t they have enough lifeboats?  It was due to a killer in ourselves, “normalcy bias.”  Today, I would like to talk about how the normalcy bias affects us.  Through my speech, I will give you a tip to protect yourself when an emergency situation occurs.

              The Disaster Prevention System Institute defines “Normalcy bias” as “a human instinct that underestimates the emergency situation to prevent the brain from getting tired of every single accident.”  Because of this bias, we sometimes think a situation is not dangerous and nothing will happen to us.  When the Titanic was made, people didn’t load enough lifeboats because they believed that the Titanic would never sink.  This idea came from the normalcy bias.  Because of it, uncountable lives were killed in the past, and people will keep on getting killed in the future. 

               The same thing has happened in modern Japan.  On March 11th in 2011, a big earthquake hit Tohoku.  After that, a Tsunami warning had been posted.   Although people knew the danger, about 70% of people stayed in their home.  Most of the people thought the Tsunami wouldn’t hit them and also thought it might be okay because others didn’t escape.  This bias makes us dismiss proper judgment.

              The normalcy bias is able to change our best times into a nightmare.  “We should go back.”  “Hey, come on mom, nothing will happen to us.”  I said these words in happy excitement.  On the last day of 2015, I was in Germany with my mother enjoying fireworks.  My mother tried to make me go back to the hotel because we heard someone screaming and there were many drunken people.  However, I didn’t pay attention to her and ended up having a terrible experience.  Someone threw a firecracker at me and tried to steal my wallet.  It was a horrifying moment.  Although the situation was obviously dangerous, I kept staying there.  I should have gone back to the hotel.  I still regret it.  The bias changed my best time into a nightmare.

              You might have similar experiences.  When an earthquake happens, you are like “oh, I think it was level 3”, aren’t you?  Or, when you take a taxi or bus, you totally forget the existence of a seatbelt, don’t you?  Everyone has normalcy bias, and it surely has an influence on our behavior.  Moreover, nobody knows what will happen next.  An emergency would happen 10 years later, 3 days later, or the next moment.  That’s why everyone has to think about strategies to protect yourself. 

               Since the normalcy bias is a human instinct, it is difficult to remove it completely.  However, we can control this instinct to some degree.  To reduce this bias, it is necessary to get an "antibody" to the bias.  Unless you get it, you will be killed by yourself.

               How can we get an antibody?  My suggestion is asking “what if” questions.  Please imagine the possible dangers by using “what if” questions.  What if you were in the scene of an accident?  What if a big earthquake hits on where you are planning to go?  What if you heard the sound of an explosion?  What kinds of danger will there be?  You can ask “what if” questions when you are watching the news or when you go somewhere that you don’t know well.

                By simulating the situations, we get an antibody to the bias and there is a lower possibility that we'll face a dangerous situation.  When an emergency actually happens, it is important to focus on grasping what is happening at the moment, not what others are doing.  To do so, please ask yourself, “what if this situation is actually dangerous?”  This question is the key, because not everyone can behave calmly and make good decisions.  You would be able to judge the situation more calmly.

                After I knew about the bias, I came to consider something unusual such as a big sound or even a little quake in connection with danger, and ask myself “what if” questions.  I am not saying don’t go anywhere or don’t do anything, but I want you to notice that your casual decision based on “what if” question may change your destiny. 

                Through the “what if” questions, you can realize what you should do for the emergencies easier than ever before.  Here is a successful example.  According to the Japan Society for Natural Disaster Science, on that day, one city succeeded in saving 99.8% of children’s lives.  In the city, there is a word that has been passed down through the generations.  That is, “津波てんでんこ”, which means, run away without caring other people when the earthquake happens.  Based on this word, people ran away from the ocean as soon as possible and saved own lives.  What I want to emphasize is that many “what if” questions are underlying in this word; “what if tsunami actually comes to the house?”, or “what if I fail to escape by waiting someone or instruction?”  Thanks to this, people in the city knew what to do under the emergency situation.  On that day, escape or not decided the outcome.  “What if” was the key to save the lives from the killer.  

                 In today’s society, where everything changes rapidly, it is possible that something dangerous might happen in this otherwise safe country, Japan. Unprecedented acts of terrorism are happening in many countries, on a large scale.  Japan is also more likely to have natural disasters than in other countries.  In these situations, we get used to a lot of awful news.  We take peace for granted, don’t we?  It’s too late to regret after being involved in accidents or disasters.  The past teaches us.  The news teaches us.  And this speech teaches you.  Ladies and gentlemen, it is only you who can protect yourself from the killer in yourself.

 

4. Conclusion

How was the speech?? Wasn't it good??

We are not so sure about which information we should trust when many people state their own opinion. But, what is certain is asking what-if question to yourself changes how you act in the future. What if I go out today? What if I am infected by COVID-19 and spread it to my family member? This imagination is indispensable in this tough time.

 

Thank you for reading to the last. Please feel free to make any comments. 

 

正常性バイアスとは?

こんにちは。メグミロクです。

 最近は新型コロナウイルスで経済、社会に様々な影響が出ています。様々なニュースが飛び交い、フェイクニュース、デマもまた横行しています。

 そのような中で1つの指針を示してくれるTEDxトークがあります。今日はそのTEDxトークについて書きたいなと思います。まずはTED・TEDxが何かを説明した後本題に入りたいと思います。TED・TEDxなんて知ってるよという方は正常性バイアスとは何かからご覧ください。

 

1. TED・TEDxとは

 多くの皆さんがTEDをご存知かと思います。NHKのスーパープレゼンテーションであったり、大学の授業で見たという方も多いのではないでしょうか。念のためおさらいしましょう。TEDのホームページから引用した定義を見てみましょう。

TED is a nonprofit devoted to spreading ideas, usually in the form of short, powerful talks (18 minutes or less). TED began in 1984 as a conference where Technology, Entertainment and Design converged, and today covers almost all topics — from science to business to global issues — in more than 100 languages. Meanwhile, independently run TEDx events help share ideas in communities around the world. 

(TEDのHP, 2020年4月2日閲覧, https://www.ted.com/about/our-organization)

筆者訳:TEDとはアイデアを広めることに専念した非営利組織で、一般に短く力強いトークの形式を取る(18分かそれ未満)。TEDは1984年にテクノロジー、エンターテイメント、デザインが集まるカンファレンスとして始まった。今日では100以上の言語で科学、ビジネス、そして世界的問題などほぼ全てのトピックがカバーされている。また独立して開催されるTEDxイベントは世界中のコミュニティにアイデアを共有するのを助けている。

 

 TEDはテクノロジー、エンターテイメント、デザインの頭文字をとっているのですね。簡単にまとめるとTEDは、多くの分野において「アイデアを広めること」をミッションに活動する非営利組織といったところでしょうか。ところで最後にTEDxについて記載がありました。今回紹介する動画はTEDxの動画なのでこれについても説明をしたいと思います。

A TEDx event is a local gathering where live TED-like talks and performances are shared with the community. TEDx events are fully planned and coordinated independently, on a community-by-community basis. The content and design of each TEDx event is unique and developed independently, but all of them have features in common.  (TEDのHP, 2020年4月2日閲覧, https://www.ted.com/about/our-organizationhttps://www.ted.com/participate/organize-a-local-tedx-event/before-you-start/what-is-a-tedx-event ) 

筆者訳:TEDxイベントはTEDのようなトークやパフォーマンスがコミュニティに共有される地元の集まりである。TEDxイベントはコミュニティを基礎とし、独立して十分に計画され運営される。各TEDxイベントの内容やデザインはユニークのもので独立して発展するが全てのTEDxイベントは共通の特徴を持つ。

 

 共通の特徴ってなに〜〜って思った方もいらっしゃるかと思います。実はこの後に"TED's format" (TEDの形式)、"Diversity of topics"(トピックの多様性)、"Community-driven and bias-free content" (コミュニティー主導で偏見なき内容)というのが続きます。※()内は筆者訳

 

 話が逸れてしまいましたがTEDxとはつまり地元で開催されるTEDに似たようなイベントです。上記の「共通の特徴」やミッションである「アイデアを広める」といったことに忠実なイベントでもあるんですね。

 

 さてここからが本題です。今回のコロナウイルスの1件で私たちが考えなければならないもの、それは「正常性バイアス」についてです。

 

2. 正常性バイアスとは

 正常性バイアスとは心理学の用語だそうです。正常性バイアスについてはTEDxのトークの中にもあるのでここでは詳しくは触れませんが、簡単に定義だけ。

正常性バイアスとは「正常化の偏見」と呼ばれる心理学用語の一つで、予期しない事態に対峙した際に、「ありえない」「考えたくない」という心理状況に陥りやすい人間の特性のことを指します。正常性バイアスが働くと、予期しない事態が発生しても、自身が直面している状況が日常とさほど変わらない状態(正常な状態)であると半ば自動的に認識しようとします。

ニュートンコンサルティング2020年4月2日閲覧、https://www.newton-consulting.co.jp/bcmnavi/column/normalcy_bias.html

 

 うん。なるほど。確かに今の状況にも当てはまりそうではないでしょうか。つまり正常性バイアスとは「予期しない事態に直面しても日常と変わらないと認識してしまうこと」といったところでしょうか。

 もっと詳しく知りたい方は上記のURLを開いて見てください。

 

3. 今回のTEDx

今回のTEDxトークは土橋恵さんによって2018年に行われたものです。

タイトルは「Killed by yourself -あなたの身を守るもの」です。

英語のトークですが、今回は特別に土橋さんにも許可をいただきこちらに筆者訳のスクリプトを掲載いたします。彼女はトークの中で正常性バイアスがどのように私たちに影響を与えるのか、それを避けるにはどのようなことを気をつければ良いのかを話してくれています。彼女からのコメントを抜粋します。

“私は大丈夫だろう”、“何も起こらないだろう”。

私たちに備わる“正常性バイアス”によって生まれるこの油断は 、時に最悪の事態を招く。 例えば、東日本大震災では、多くの人が“うちまで津波は来ないだろう”と考え、避難をしなかった。

これからの社会を生きていく上で、そういった自然災害やテロ事件などに巻き込まれる確率は高くなっていくであろう。その中で、私たち、特に日本人は、事故や事件をどこか遠くの存在と感じていないだろうか。ニュースをみて恐怖を感じても、翌日には忘れてしまっていないだろうか。だが、私たちの身にも同じことが起こるかもしれないのである。このまま平和ボケをしていてはいけない。自分の身を守らなければいけない。そのためにはどうすればいいのか。

このスピーチが、危機意識の持ち方を再考するきっかけになれば幸いである。

 

では、是非今の新型コロナウイルスでパニックになっている世界情勢を鑑みながら見て見てください。

youtu.be

 

 以下スクリプト 

The sound of a string quartet traveled through the world’s largest unsinkable liner, the Titanic.  The sound and the mood made people forget they were in the middle of the ocean.  People were happily dancing, eating and drinking.  A few hours later, crash!  The Titanic had collided with an iceberg and started to sink.  However, there were not enough lifeboats for everyone.  As a result, approximately 1500 out of 2200 people sank to the bottom of the sea.  Why didn’t they have enough lifeboats?  It was due to a killer in ourselves, “normalcy bias.”  Today, I would like to talk about how the normalcy bias affects us.  Through my speech, I will give you a tip to protect yourself when an emergency situation occurs.

弦楽四重奏の音が世界一大きい沈まない船「タイタニック号」に響き渡ります。その音や雰囲気は乗客が海のど真ん中にいるということを彼らに忘れさせます。人々は楽しそうにダンスをしたり飲食をしたりします。数時間後、衝突!タイタニック号は氷山にぶつかり沈み始めました。しかし、全員分の救命ボートはなかったのです。その結果、約2200人中1500人が海の底へ沈みました。なぜ彼らは十分な救命ボートがなかったのでしょうか。それは、私たちの中にいる殺人鬼「正常性バイアス」のせいだったのです。今日は正常性バイアスが我々にどのように影響するか話したいと思います。私のスピーチを通して、緊急事態が起こった時に自分を守るヒントをあげたいと思います。

              The Disaster Prevention System Institute defines “Normalcy bias” as “a human instinct that underestimates the emergency situation to prevent the brain from getting tired of every single accident.”  Because of this bias, we sometimes think a situation is not dangerous and nothing will happen to us.  When the Titanic was made, people didn’t load enough lifeboats because they believed that the Titanic would never sink.  This idea came from the normalcy bias.  Because of it, uncountable lives were killed in the past, and people will keep on getting killed in the future. 

防災システム研究所は「正常性バイアス」を「小さな出来事一つ一つに反応していれば心の平穏が保てないため、心の機能には些末なことで自分に直接影響のないことは、正常の範囲と自動認識する仕組み」と定義しています。このバイアスのせいで、私たちは時々、危険ではないし何も私たちには起こらないと考えます。タイタニック号が作られた際、タイタニック号はどうせ沈まないだろうと考え十分な救命ボートを積まなかったのです。このアイデア正常性バイアスから来ています。これのせいで、数え切れない命が過去になくなり、これから先も命が失われていくでしょう。

The same thing has happened in modern Japan.  On March 11th in 2011, a big earthquake hit Tohoku.  After that, a Tsunami warning had been posted.   Although people knew the danger, about 70% of people stayed in their home.  Most of the people thought the Tsunami wouldn’t hit them and also thought it might be okay because others didn’t escape.  This bias makes us dismiss proper judgment.

現代の日本でも同じことは起こっています。2011年3月11日、大きな地震が東北を襲いました。そのあと、津波警告が勧告されました。危険を知っていたにもかかわらず70%の人は家に居たままでした。多くの人々は津波が彼らを襲うとは思っていなかったし、ほかの人も逃げてないからおそらく大丈夫であろうと考えました。このバイアスが正当な判断を捨てさせたのです。

              The normalcy bias is able to change our best times into a nightmare.  “We should go back.”  “Hey, come on mom, nothing will happen to us.”  I said these words in happy excitement.  On the last day of 2015, I was in Germany with my mother enjoying fireworks.  My mother tried to make me go back to the hotel because we heard someone screaming and there were many drunken people.  However, I didn’t pay attention to her and ended up having a terrible experience.  Someone threw a firecracker at me and tried to steal my wallet.  It was a horrifying moment.  Although the situation was obviously dangerous, I kept staying there.  I should have gone back to the hotel.  I still regret it.  The bias changed my best time into a nightmare.

正常性バイアスは最高の時を悪夢に変えることがあります。「戻ったほうがいいよ」「お母さん、何言ってるの、何にも起こらないよ」私は興奮のうちにこの言葉を言いました。2015年の最後の日、私は母とドイツで花火を楽しんでいました。誰かが叫んでいるのを聞き、また多くの酔っぱらいがいたので母は私をホテルに戻そうと説得しました。しかし、私は母の注意を聞かず、恐ろしい経験をする羽目になりました。誰かが私に爆竹を投げ財布を盗もうとしました。恐ろしい瞬間でした。状況は明らかに危険だったのにそこにずっと留まっていたのです。ホテルに戻っているべきでした。私はまだ後悔しています。そのバイアスが最高の時を悪夢に変えたのです

              You might have similar experiences.  When an earthquake happens, you are like “oh, I think it was level 3”, aren’t you?  Or, when you take a taxi or bus, you totally forget the existence of a seatbelt, don’t you?  Everyone has normalcy bias, and it surely has an influence on our behavior.  Moreover, nobody knows what will happen next.  An emergency would happen 10 years later, 3 days later, or the next moment.  That’s why everyone has to think about strategies to protect yourself. 

あなたも似たような経験をしたことがあるかもしれません。地震が起こったときあなたは「あ!これは震度3だと思う」みたいになっていませんか?またはタクシーやバスに乗ったときシートベルトの存在を忘れていませんか?みんな正常性バイアスを持っており、私たちの行動に必ず影響を与えています。また、次に何が起こるかなんて誰にも分かりません。緊急事態は10年後に起こるかもしれないし、3日後かもしれないし、次の瞬間かもしれません。だからこそ全員があなた自身を守る戦略を考えなければいけません。

Since the normalcy bias is a human instinct, it is difficult to remove it completely.  However, we can control this instinct to some degree.  To reduce this bias, it is necessary to get an "antibody" to the bias.  Unless you get it, you will be killed by yourself.

正常性バイアスは人間の本能なので完全になくすことは難しいです。しかし私たちはある程度この本能をコントロールすることができます。このバイアスを減らすためにはバイアスへの「抗体」を得る必要があります。得られなければ、あなたは自分自身によって殺されることでしょう。

How can we get an antibody?  My suggestion is asking “what if” questions.  Please imagine the possible dangers by using “what if” questions.  What if you were in the scene of an accident?  What if a big earthquake hits on where you are planning to go?  What if you heard the sound of an explosion?  What kinds of danger will there be?  You can ask “what if” questions when you are watching the news or when you go somewhere that you don’t know well.

ではどのように抗体を得ることができるのでしょうか。私の提案は「what if」の質問を問うことです。「what if」の質問を使って起こりうる危険性を想像してみてください。もしあなたが事故現場にいたら?もし行こうとしているところでじしんが起こったら?もし爆発の音を聞いたら?どのような危険がある?ニュースを見ているときやあまり知らない場所に行ったとき「what if:」の質問をすると良いです。

By simulating the situations, we get an antibody to the bias and there is a lower possibility that we'll face a dangerous situation.  When an emergency actually happens, it is important to focus on grasping what is happening at the moment, not what others are doing.  To do so, please ask yourself, “what if this situation is actually dangerous?”  This question is the key, because not everyone can behave calmly and make good decisions.  You would be able to judge the situation more calmly.

状況をシミュレーションすることでそのバイアスへの抗体を得ることができ、危険な状況に遭遇することが少なくなります。緊急事態が実際に起こったとき、他の人が何をしているのかではなく、その瞬間に何が起きているかを理解することに注力することが大切です。そうするために、あなた自身に問うてください、もしこの状況が本当は危険だったら?と。全ての人が冷静に振る舞い良い決断を下すことができるわけではないのでこの問いが大切です。もっと冷静に状況判断ができるようになるでしょう。

 

After I knew about the bias, I came to consider something unusual such as a big sound or even a little quake in connection with danger, and ask myself “what if” questions.  I am not saying don’t go anywhere or don’t do anything, but I want you to notice that your casual decision based on “what if” question may change your destiny. 

このバイアスを知ったあと、何か普段と違うこと、例えば大きな音や、小さな揺れでさえも危険と結びつけて考えるようになり、「what if」を自分自身に問いかけます。どこにも行くなとかなにもするなと言っているわけではありません。ただ「what if」を元に何気なく決めたことがあなたの運命を変えるかもしれないということに気づいて欲しいのです。

 

 Through the “what if” questions, you can realize what you should do for the emergencies easier than ever before.  Here is a successful example.  According to the Japan Society for Natural Disaster Science, on that day, one city succeeded in saving 99.8% of children’s lives.  In the city, there is a word that has been passed down through the generations.  That is, “津波てんでんこ”, which means, run away without caring other people when the earthquake happens.  Based on this word, people ran away from the ocean as soon as possible and saved own lives.  What I want to emphasize is that many “what if” questions are underlying in this word; “what if tsunami actually comes to the house?”, or “what if I fail to escape by waiting someone or instruction?”  Thanks to this, people in the city knew what to do under the emergency situation.  On that day, escape or not decided the outcome.  “What if” was the key to save the lives from the killer. 

「what if」を通して、緊急の際に何をすれば良いのかを今までよりも簡単に気づくことができるでしょう。成功事例もあります。日本自然科学学会によるとその日ひとつの都市が99.8%の子供の命を救うことに成功したそうです。その都市では世代を通して伝わっている言葉があります。それは「津波てんでんこ」で、地震が起きた時にはほかの人に構わず逃げるというものです。この言葉をもとに、彼らは海からなるべく早く逃げ命を救ったのです。強調したいのはこの言葉には多くの「what if」が基礎となっているということです。津波が実際家まで来たらどうしよう?や誰かや指図を待っていて逃げ遅れたらどうしよう?など。このおかげでこの都市の人々は緊急事態下で何をするべきか知っていたのです。その日、逃げるか逃げないかが結果を決めたのです。「what if」は殺人者から命を守る鍵だったのです。

 

 In today’s society, where everything changes rapidly, it is possible that something dangerous might happen in this otherwise safe country, Japan. Unprecedented acts of terrorism are happening in many countries, on a large scale.  Japan is also more likely to have natural disasters than in other countries.  In these situations, we get used to a lot of awful news.  We take peace for granted, don’t we?  It’s too late to regret after being involved in accidents or disasters.  The past teaches us.  The news teaches us.  And this speech teaches you.  Ladies and gentlemen, it is only you who can protect yourself from the killer in yourself.

全てのものがめまぐるしく変わる今日の社会ではこの安全な国でも何か危険なことが起こりえます。先例のないテロが多くの国で、大規模に起こっています。日本はほかの国よりも自然災害が起こりやすいでしょう。このような状況で多くのすさまじいニュースに慣れてきています。私たちは平和を当たり前に考えているのではないのでしょうか。事故や災害に巻き込まれてから後悔するのでは遅いのです。過去は私たちに教訓を与えてくれます。ニュースは私たちに教訓を与えてくれます。そしてこのスピーチはあなたに教訓を与えます。みなさん、自分の中の殺人鬼からあなたを守れるのはあなたしかいないのです。

 

4. まとめ

いかがでしたでしょうか。

私たちは今この情報社会の中で何を信じていいのかが分からなくなっています。ただ確かなことはwhat if questionを自分自身に問いかけることで自分の行動が変わってくるということです。「不要不急」の外出をしたらどうなるか、もし自分がかかって自分の家族に感染を拡大してしまったらどうするか。この想像力が今大切なのではないでしょうか。

 

最後まで読んでくださりありがとうございます。 コメントお待ちしております。

 

障がいって何だろう? 医学モデルと社会モデル

みなさん。お久しぶりです。

今年は最低1ヶ月に1回は更新していきます。 

今回のテーマは「障がい」についてです。

 

  

前提

本題に入る前に2つの前提を共有します。

1. 「障がい」の表記について

本ブログでは「障害」や「障碍」を「障がい」と書くこととします。ただし法律については正式名称での表記とします。

※表記については下記のリンクを参照

https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/s_kaigi/k_26/pdf/s2.pdf

「障害」のひらがな表記の試行的な取り組みについて | 保健福祉部福祉局障がい者保健福祉課

 

 2. ブログの趣旨

ここに書くことは私個人の意見であり誰も傷つける意図はありません。

中立な視点で書くようにしますが

疑問に思う点や嫌だった点があれば気軽にコメントしてください。

さてさて、では本題に入っていきましょう!

1. 障がいとは?

障がいとはどのように定義されているのでしょうか。政府の定義から見ていきます。障害者基本法は1970年に制定されました。この時は障がい者は以下のように定義されています。

身体障害、知的障害又は精神障害(以下「障害」と総称する。)があるため、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者

障害者基本法の一部を改正する法律案新旧対照表 - 内閣府

 

まあそれはそうですよね、といった反応でしょうか。 

実はこの法律は2011年に改定されています。その内容を見て見ましょう。

 

一 障害者 身体障害、知的障害、精神障害発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。


二 社会的障壁 障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。

障害者基本法の一部を改正する法律案新旧対照表 - 内閣府

 

ここでは第一項に「社会的障壁により」という言葉があったり第二項に「社会的障壁」の定義が載っていたりします。1970年にはなかったような概念ですね。2011年の定義をしっかりと理解するのに大切な概念があります。医学モデルと社会モデルです。

 

2. 医学モデルと社会モデル

Shakespeare(2013, p. 216)は医学モデルと社会モデルを次のように定義づけています。

The social model is distinguished from the medical or individual model. Whereas the former defines disability as a social creation—a relationship between people with impairment and a disabling society—the latter defines disability in terms of individual deficit.

http://Shakespeare, T. (2013). The social model of disability. The disability studies reader, 2,214–221.

筆者訳:社会モデルは医学モデルや個人モデルと区別される。前者は障害(i.e. ディサビリティ)を社会の創造-障害(i.e. インペアメンツ)を持つ人と無力な社会との関係ーと定義するのに対し、後者は障害(i.e. ディサビリティ)を個人の欠損とする。

 

少し難しいので簡単に説明します。

医学モデル(個人モデル)は従来のような障がいを個人の問題とする考え方です。「車椅子の人は足が悪いから障がい者である」というような考え方はこの医学モデルに当てはまります。いわゆる多くの人が抱く障がい者のイメージはこの医学モデルなのではないでしょうか。

一方で社会モデルは、障がいは社会にあると考える物の見方です。例えば「車椅子の人はエレベーターという社会設備が障壁によって障がいを負っている」といったことです。2011年の障害者基本法に記載されている「社会的障壁」はこの社会モデルに立脚した考え方であると私は考えます。

 

まだよく分からないという人のために簡単な例を出したいと思います。

皆さんの周りにメガネをかけている人はいますか?その人たちは障がい者でしょうか。

もしメガネという物がなければその人は目に障がいがあると考えられてしまうかもしれません。でも、メガネがあるから私たちはそれを「障がい」とは一般的に考えません。つまり社会の設備が充実すれば私たちの想像する「障がい」は障がいでなくなるのです。

 

社会モデルの先駆けとなったのは「隔離に反対する身体障害者連盟」です。1975年に出された基本原則を見て見ましょう。

 

In our view, it is society which disables physically impaired people. Disability is something imposed on top of our impairments, by the way we are unnecessarily isolated and excluded from full participation in society. Disabled people are therefore an oppressed group in society.

Union of the Physically Impaired Against Segregation (1975). Fundamental Principles, available at https://disability-studies.leeds.ac.uk/wp-content/uploads/sites/40/library/UPIAS-fundamental-principles.pdf; accessed February 20, 2020. 

筆者訳:「我々の見解では、身体障害者を障害としているのは社会である。ディサビリティとは、インペアメンツに加えて完全な社会参画から不必要に孤立、除外されることによって課されたものである。障害者はすなわち社会で抑圧された集団である。」

 

ディサビリティとインペアメンツについては後述するとして、ここで注目したいのは障がい社会によって引き起こされていると考えることです。社会に障がいがあるという考え方は「障がい」を他人事ではなく自分事に捉えることに寄与すると私は考えます。つまり障がいは「自分とは関係のない誰かが保有しているもの」ではなく全員が考えていかなければならない「社会問題」なのです。

 

少し逸れてしまいますが、UNESCOのEducation 2030でも学習環境の整備の大切さを訴えています。

”need for adequate physical infrastructure and safe, inclusive environments that nurture learning for all, regardless of background or disability status. A quality learning environment is essential to support all learners, teachers and other education personnel. Every learning environment should be accessible to all and have adequate resources and infrastructure to ensure reasonable class sizes and provide sanitation facilities." p. 51(UNESCO (2016) Education 2030: Incheon Declaration and Framework for Action for the implementation of Sustainable Development Goal 4: Ensure inclusive and equitable quality education and promote lifelong learning opportunities for all)

 

 

3. ディサビリティとインペアメンツ

医療モデルと社会モデルを正確に記述するためにはディサビリティとインペアメンツの違いを知らなければなりません。どちらも「障がい」という意味なのですがニュアンスが異なります。Shakespeare(2013, p. 216)の定義を見て見ましょう。

 

Impairment is distinguished from disability. The former is individual and private, the latter is structural and public. While doctors and professions allied to medicine seek to remedy impairment, the real priority is to accept impairment and to remove disability. Here there is an analogy with feminism, and the distinction between biological sex (male and female) and social gender (masculine and feminine) (Oakley, 1972). Like gender, disability is a culturally and historically specific phenomenon, not a universal and unchanging essence.

筆者訳:インペアメントとはディサビリティと区別される。前者は個人で私的な者であり後者は構造的、公的である。医者や医療従事者はインペアメントを治療するのに対し真に優先されるべきことはインペアメントを受け止めディサビリティを取り除くことである。ここにフェミニズムとの類推がある。生物的な性(sex)と社会的な性(gender)のことである。ジェンダーのようにディサビリティは文化的歴史的特定の現象であり普遍、不変的な本質ではない。

 

つまり、インペアメンツは医療モデルを語るときに使われる個人のレベルでの障がいでありディサビリティは社会が抱える障がいであると読み取ることができます。

 

4. 近年の障がい観

 近年障がいについてもう一度よく考え、障がい者への差別を無くそうという機運が高まっています。少し古いデータですが内閣府(2009)による「『障害を理由とする差別等に関する意識調査』の公表について」では障がい者への差別について「あると思う、または「少しはある」と思うと答えた人は80パーセントにものぼりました。また「現在、国や地方公共団体では、「『共生社会』の考え方に基づいて、障害のある人もない人も共に生活できるための環境づくりを進めていますが、これについてあなたはどう思いますか。」では、「賛同する」、「どちらかといえば賛同する」と答えた人が同じく80パーセント以上いました。

 

一方で、岩隈(1998)が指摘するように、メディアは、障がい者をかわいそうだとか、いたわらなければいけない存在と受動的な定義をしてしまっていて、メディアが作り出した「古典的障がい者観」を知らないうちに持ってしまっていることも否定できません。また岩隈(2007)は「一番問題なのは、自分が先入観(ステレオタイプ)を持っているということ自体を自覚しないため、いつまでたっても古い先入観にしがみつき、新しい情報に出会ってもステレオタイプの書き換えを怠ることである」と述べています。

 

障がいについても今まで持っていた固定観念を捨て社会モデルで考えると「社会問題」として障がいを考えることができるのではないでしょうか。

当事者意識を持ち障がいを考えてみてはいかがでしょうか。

 

まとめ

 本ブログでは、障がいの定義、医療モデル・社会モデル、インペアメントとディサビリティ、そして近年の障がい観について書いてきました。これを読むことで障がいについて少しでも考えることがあれば嬉しいです。

最後に皆さんに伺います。障がいって何だろう。

 

 

参考文献 (引用部に掲載しているもの以外)

内閣府「障害を理由とする差別等に関する意識調査」

www8.cao.go.jp/shougai/suishin/tyosa/h21ishiki/pdf/kekka.pdf

②岩隈美穂. (1998). 異文化コミュニケ-ション, マスコミュニケ-ション, そして障がい者 (特集= 身体障害者). 現代思想, 26(2), 192-203.

③岩隈(2007)「多文化社会と異文化コミュニケーション」三修社

第二言語を学ぶ意義

平成が終わって令和の時代が始まろうとしていますね!

今年はたくさんブログを書こうと思っていたのですが、なかなか筆(今はキーボードですね)が進みませんでした。しかしこの節目に「言語を学ぶ意味」について今考えていることを書いていこうと思います。

 

1. ソシュールの言語観からみる

 

平成が終わると聞いてどんなイメージを持ちますか?

平成生まれの私は時代が終わる「寂しさ」のイメージを抱きます。

一方、日本に来たばかりの外国人は異なった感情を抱くかもしれません。

 

スイス生まれのフェルナン・ド・ソシュールは言語を記号表現(シニフィアン)と記号内容(シニフィエ)分けその2つはコインの表裏のように切り離せないものであると考えました。シニフィアンは「平成」のような文字や音声、シニフィエは「平成」の意味内容やイメージということになります。「平成」という文字(シニフィアン)とそこに「寂しい」と意味づけを(シニフィエ)して人間は言語を使っています。

このシニフィアンシニフィエは切っても切り離せない関係ではありますが、そこに必然性はありません。日本語では犬、英語ではdogと(ほとんど)同じものを表すのに違う単語が使われていることがその証明です。これを恣意性と言います。つまり犬を犬と呼ばずに「てぬ」と呼んでも良かったわけです。

 

さて、ここまでソシュールの概念について簡単に説明してきましたが、これがどのように言語を学ぶ意味とつながっているのでしょうか。

 

1つ目に言えることとしては、言語について深く考えることができるようになると言うことです。言語を使って言語について考えること(メタ認知)で私たちが何気なく使っている言語を俯瞰してみることができます。皆さんはおそらく母語を無意識に習得していたことでしょう(自然習得)。

言語を学ぶことがなければ言葉について考える機会はほとんどないでしょう。言語について深く考えることは様々な疑問を私たちに投げかけます。なぜ人間だけがシステムとしての言語を話すのか、言語を習得するとはどのようなことなのか、言語とは何か、どうしてコミュニケーションが取れるのか、この人がこの言葉遣いをするのはなぜか、などなど。この「当たり前のことを疑ってみる、考えてみる」という行為が人類の知を広げていき人間の生活や諸処の営みを豊かにしていきます。

 

言語を学ぶ2つ目の理由は繊細なニュアンスを表現できるようになるということです。日本語では面白いと言われる言葉が英語ではbeautiful と interestingと分けることができます。日本語だけしか知らない人ではこの違いを理解することが難しいでしょう。なぜなら人は名前を与えることによって物事を判別しているからです。名前を与えることによってそこに解釈が生まれ、シニフィエシニフィアンが生まれるのです。

 

3点目に言語を通して文化を知ることができます。日本には敬語というものがありますが英語には「敬語」というものは存在しません(丁寧な表現は多数存在しますが)。そして日本では年配を敬うという文化規範が存在します。

このように言語は文化や私たちの考えていることに影響を及ぼします。これをサピア=ウォーフの仮説と呼びます。近年のポリティカルコレクトネス(看護婦ではなく看護師というような社会的に公正な語彙を使うこと)の運動でもこの思想は見られます。

 

またその言語でしか説明できない概念(ワビサビなど)を知ることができるようになります。様々な言語固有の概念や文化を保存するために言語を学ぶことは肝要であると言えます。

さらに言語に着目すると面白いことが見えて来ます。これはある男の子とその父親の話です。

ある男の子と父親が交通事故にあって病院に運ばれて来たという。その手術を担当した医師が「息子!」と叫んだそうです。これはどういうことでしょう?

 

知っている方もたくさんいらっしゃるとは思いますが、実は医者が母親だったのです。「女医」と「医者」という言葉が指し示しているように医者という言葉には「男性」という概念、シニフィエが包含されているのでしょう。言語学では女医のようなものを「有標」、医者を「無標」と区別しこの違いをわかりやすくしています。有標とは単純な言葉で言えば特殊であるということ、そして無標とは"一般的”であるということを示しています。このように言語を細かく分析することで社会の文化や構造が見えてくるのです。

社会構造という点で言語は階層を区別していることもあります。社会言語学者のウィリアム・ラボフの有名なデパートでの研究では、階層によってお客の使う発音が異なることがわかりました。映画『マイフェアレディー』でも発音の違いが階層を作っていることが示唆されています。言語を学ぶことによって文化や社会構造についての新しい気づきがあることは疑えないでしょう。

 

ソシュールの言語観から3つの点について論じて来ました。次に近年よく取り上げられるツールとしての言語を学ぶ意味を考えていきます。

 

2.  ツールとしての言語観からみる

ツールとしての言語観では言語をコミュニケーションのツールとして考えます。自分の考えを伝えるための「道具」として言語を学び使っていくのです。一つ例をあげましょう。

 

友達がポルトガルのリズボンに行った時のことです。路上でセルカ棒を売っているポルトガル人と思われる人が英語や他の言語を喋りながら観光客にセルカ棒を売ろうとしています。

 

このような例では言語が商売のための「道具」として使われていると考えることができます。生活のために必要なスキルとして言語を覚えコミュニケーションを取るということです。

 

3. ツールとしての言語観を超えて

日本の英語教育でも英語は話せれば良いというイデオロギーをしばしば目にします。

「道具」という言葉を使うと言語は人間から離れた場所に存在するものであるという認識を受けます。とんかちやペンチは人間から離れたところにある「道具」ということができます。

 

しかし、上記で説明したように言語は社会階層や自分のイデオロギーと深く結びついているものです。自分が解釈するものを言語以外で解釈することはほとんど不可能でしょう。言い換えれば、私たちの解釈は言語によって成り立っているのです。こういう論を展開すると、「では喋れない人は何も解釈できないのか」という反論を受けます。しかし、彼らは言語を持っているのです。しかしその言語は見える形でoutputされていないのです。解釈をしているかしていないかの問題をここでは取り上げているわけですから喋れないというのは関係ないのです。

 

言語をツールとしてみる考え方のもとではコミュニケーションが伝われば良いのだから"I go to school yesterday"というような非文法的(有標)な文でも伝われば良いということになりかねません。もちろん英語の規範や文法性は国際共通語としての英語(ELF)などの台頭によりその意味を問われはじめていますが、先に述べたように言語は階級やアイデンティティを作るものです。自分が発話した言葉によって人は他者から判断されてしまいます。それは言語が自己という存在や自己の思考と切り離すことができないものであるからと言えます。

 

さらに、ツールとしての言語観はAIや機械翻訳が進めば進むほど必要性が少なくなってきます。この点についてはここでは詳しく論じませんが、コミュニケーションを取るだけならGoogle翻訳でかなり補うことが出来ます。 

言語はコミュニケーションに必要なものではありますが、言語を学ぶ意味は「ツールという言語観」を超えてその重要性を私たちに考えさせてくれます。

 

4. 複言語主義

ヨーロッパを中心として端を発した考え方に複言語主義というものがあります。

鳥飼(2011)は複言語主義を次のように定義づけています。

一つ以上の言語を学ぶには全ての言語知識と経験が寄与し、言語同士が相互の関係を気づき相互に作用し合うことで新たなコミュニケーション能力が作り上げられる、ということ(p.50)

鳥飼玖美子、2011、『国際共通語としての英語』、講談社

 つまり1つの言語だけでなく2つ以上の言語を統合的に学び母語を含めた全ての言語知識を豊かにしていく営みが言語を学ぶということです。また、複言語主義が掲げる言語教育、言語学習の目的は

「全ての能力がその中で何らかの役割を果たすことができるような言語空間を作り出すこと」にあります。換言すれば、言語教育とは、ホリスティックな全人的な学習である(p. 50)

鳥飼玖美子、2011、『国際共通語としての英語』、講談社

 ということになります。言語を洗練させていくことによって人としての本質的な、根源的な知を獲得し人間としてより良く生きることができると私は信じています。

 

まとめ

イデオロギーや階級、アイデンティティなど社会的主体としての自己を如実に表す言語を学習することは自己を客観視すること、自分の文化を再考すること、他者を理解する異文化コミュニケーション能力に寄与します。ツールとしての言語観だけでは見えてこない言語学習の意義がこれからの時代ますます認識されていくのではないのでしょうか。