2021年 共通テスト 英語リーディング解説
2021年1月16日から2日間に渡り大学入学共通テストが行われました。
これは今まであった大学入試センター試験と実質同じようなものですが、問題形式にも多少変更がありました。
今回は中学と高校で英語を教えているものとして、英語のリーディングがどのようなものだったのか、今後の受験生がどのような勉強を求められているのかを書き記します。是非問題を一通り解いて見てから振り返りとして読んでいただくのが良いと思います。
目次
- 問題形式の変更について
- どこで問題を見ることができるのか
- 全体として重要なこと
- リーディング第1問 (配点10点)
- リーディング第2問 (配点20点)
- リーディング第3問 (配点15点)
- リーディング第4問 (配点16点)
- リーディング第5問 (配点15点)
- リーディング第6問 (配点24点)
- 出題に当たっての重要単語
- 総括
問題形式の変更について
問題形式がどのように変わったかは様々なところで書かれているので、ここでは詳細には語りません。端的に変更点を書くならば、発音やアクセントの単独問題はなく、全体で6ページ増えました。SNSやホームページなど現代の多様なデジタル情報から読み取ったり、複数の資料を元に考えたりする実用的な出題が目立ち、英文の内容をストレートに問うような出題は減りました。
ポイントは4つあります。
リーディングの量が増えたということは、80分をどう使うかがより一層大切になってくるということです。また提示されている2つの記事を読まないと正解にたどり着けないような情報を合わせることで解ける問題も多く見られました。イギリス英語はスペル(Center⇆Centre、Realize⇆Realise)や単語(Construction⇆Roadworks)が少し違うだけなので、問題を解く上で障壁になることはないと思います。ただ、こんなスペルもあるんだ、ということは知っておくようにしましょう。今回はチャット、インターネットのファンクラブサイトのように普段私たちがよく使う場面の問題が多く出題されました。下で詳しく書いていますが、各セクションにある「問題形式への対策」のコーナーを見て日常から英語に触れておくといいかもしれません。
どこで問題を見ることができるのか
問題と解答は朝日新聞社か東進のウェブサイトから入手することができます。pdfで各大問を保存することもできるので非常に便利です。また両ウェブサイトでは問題の分析がなされているので、そこも是非参考にしてください。
受験生の皆さんは問題を印刷する事をお勧めします。本番は紙でやるわけですし、重要なところに丸やしるしをつけることもできます。では、前置きはここまでにして実際の問題に入っていきましょう。
全体として重要なこと
問題を解く上で大切な事を以下に列挙します。予備校などでも同じようなことが言われているかもしれませんし、言われてないかもしれません。あくまで私の経験からですので悪しからず!
- 何よりもまず初めに何についてなのかを把握する
- 文章を読む前に「問い」を先にみる
- 出来事が起った順番を聞いてくる問は、問題文で該当箇所に線を引く
- 4択で正解となっているのはだいたい「言い換え」がなされていることに注意
それぞれの意味は下記の問題を解説しながら詳しく説明していきます。なおこの記事ではスキルやテクニックに焦点を当てるだけでなく長期的な英語学習に役立つサイトも紹介していきます。
リーディング第1問 (配点10点)
問題の種類
Aではスマホ上のメッセージのやり取りをみて内容理解、そして次にメッセージを送るとしたら何かという少し発展的な内容が含まれています。Bではファンクラブのウェブサイトを見てファンクラブのメンバーがどのような特典が得られるのかを中心に内容理解を問う問題があります。
問題の解き方
問題の解き方としてはまず、Aでは"Your dormitory roommate Julie has a text message to your mobile phone with a request."を読み何がこれから書かれるのかを推測します。その後問1と問2の質問文を見て、何が聞かれるのかを理解します。最後に文章を読みます。同様にBも初めにテキストが何についてなのかを理解し、質問を先に読みます。あとは必要な情報をテキストから探すことになります。
比較的短い文章です。あまり時間はかけられませんがミスのないように丁寧に解答しましょう。
問題形式への対策
Aに関しては日頃から友達とのラインを英語にしてみましょう。きっと同じような状況に出くわすことがあるはずです。Bのようなwebsiteはインターネットでたくさん見つけることができます。自分の好きな海外のアーティストやスポーツ選手のファンクラブをのぞいてみるといいかもしれません。
またNetflixやAmazon PrimeなどのサブスクリプションについてのWebページも参考になると思います。
ここでは2つのサイトを紹介します。
Disneyのファンクラブ
リーディング第2問 (配点20点)
問題の種類
様々な情報から解答を得るタイプの問題です。Aはバンド大会のスコア結果、各個人のジャッジの評価、そして総合的なジャッジの判断を読み問題をときます。Fact(事実)なのかopinion(意見)なのかを区別する問題が含まれます。Bは新しい学校方針に関する生徒会長と校長先生のやり取りを読み解く問題です。両方の情報を統合しながら解答を求めなければならないのが第1問とは異なる点です。
問題の解き方
解き方は基本的には変わりません。しかし、今回は3つの情報を統合して問題を解かなければなりません。情報量が多くなるからこそ各情報で何が大切なのかを見極めないといけないですね。問いを最初に確認しどんなことが聞かれているのかに目を通します。
問題形式への対策
TOEICのリーディングパート7を解いてみることをオススメします。特にBのようなメールのやり取りはTOEICでは頻出です。少ない時間でどのように必要な情報を取り出すかにはある程度訓練が必要です。何度も解いてみると、どこを探せば良いかわかるようになってきます。
例えば、設問1であればどのバンドが一番うまく歌ったかを聞いているので1番上の表「Judges' final average scores 」だけを見て答えることができます。 一方、設問5は「Judges' final average scores 」に加え、「Judges' shared evaluation」の表も参照しなければなりません。どの情報がどこに書いてあるのか、どの表を見れば分かるのかを瞬時に判断できる力を養いましょう。
またここではfact(事実)とopinion(意見)を区別する問題も出ました。
factは真実である、証明することができるなどの特徴を持っています。
opinionは個人的で他の人が反対(disagree)できる内容を含んでいます。
この2つの違いは思っているよりも難しいですが、「一般的に全員が賛成するもの」、「状況についての客観的な説明」は事実、「私は反対ですと言える文章」、「good、wellなどを使用した文章」は意見だと覚えましょう。
リーディング第3問 (配点15点)
問題の種類
Aはホテルに泊まる際のアドバイスを読み、図の情報と合わせて解く出題があります。Bはボランティア活動の募集に関する学校のニュースレターを読み、文章の中での時系列に沿って選択肢を並び替えたり、正しい内容を読み取ったりする問題が出題されています。段落ごとの内容を順序だてて理解する力が求められます。
(https://www.toshin.com/kyotsutest/analysis_reading.htmlを筆者一部改定)
問題の解き方
Aの解き方
設問を見るとAの問1はAlexの書いた文章の総合的な内容、問2は具体的な時間が鍵になってくることがわかります。こう言った場合は、下にある図に文章で読み取った情報を書く、またはしるしをつけることをオススメします。例えば、Victoria行きのOrange Lineへ乗り換えるのには通常7分かかると書いてあります。このような問題ではこのような細かい時間が大切になってくるので必ず分かるようにしておきましょう。また可能であればAlexは余計に5分かかったなどの情報もメモしておきましょう。こうすることで設問に正しく答えることができるでしょう。
また計算に時間がかかるようだったら飛ばしてしまうのも一つの手かもしれません。
Bの解き方
まずは設問を読みます。するとイベントの順番を考える問題があります。このような問題では「時を表す副詞句」を参考にしてみてください。例えば、a few months ago, last monthというフレーズを見ればどちらが先に起こったイベントかが理解できます。このように全てを均等に読むのではなく大切なフレーズを理解して読み進めることが肝要です。
問題形式への対策
海外の予約サイトなどに触れましょう。下記のサイトでは色々なホテルのレビューを見ることができます。このようなサイトを眺めるとよく出てくるフレーズを学ぶことができます。inexpensive, affordable, economical, cheapなどの類義語もおさえるようにしましょう。
Booking. comのサイト
リーディング第4問 (配点16点)
問題の種類
メールのやり取りと、添付された図表を見て、やり取りの趣旨を読み取る問題。2通のメールの内容を照合して判断する問題や、メールの本文と時刻表やグラフの情報を組み合わせて答える問題のほか、メールの趣旨から考えられる提案を推測して答える問題など、複数の情報源の中から必要な情報を読み取り、総合的に判断する思考力が問われている。(https://www.toshin.com/kyotsutest/analysis_reading.html)
問題の解き方
設問を読むとどのバスに乗るか、どの順序で行くかなど詳細を読み取る必要性が理解できます。こういう場合、筆者は読みながら読んだ内容をすぐメモします。例えば、Westside Aquarium について"the best time to visit will be when it is least busy"と書いてあれば、すぐに下のグラフにいって一番人の少ない時間帯(15:00-16:00)にチェックします。こうすることでいちいち問題に戻らなくてよく結果的に時間を省略できます。
同様にそれぞれの場所がどこの近くにあるのかについてもしるしをつけておきましょう。例えば、Azuma Memorial Parkであれば学校の近く、West Mall であればHibari stationの近くというようにです。これをするためにも設問を最初に読んで、どんな情報が必要かを考えることがとても重要になってきます。
問題形式への対策
リーディング第2問と同様の対策で良いかと思います。
リーディング第5問 (配点15点)
問題の種類
プレゼンテーションコンテストに参加する準備として、ある人物について書かれたレポート記事を読み、出来事を時系列に沿って整理したり、プレゼンテーションスライドの空所にあてはまる内容を選択したりする問題。複数の選択肢を解答する問題や登場人物を整理する問題など、新しい出題形式が見られた。文中の出来事を1つずつ追いながら、本文の概要を理解する力が求められる。(https://www.toshin.com/kyotsutest/analysis_reading.html)
問題の解き方
登場人物をしっかりと整理しましょう。つまり、Baby bull = 309 = Aston、Pony = Leonというような言い換えに注意して物語を追いましょう。物語では代名詞のheやitが誰/何を指すのかが大変重要です。それを理解できれば何(誰)が何を成し遂げたかがより正確に理解でき問題が解きやすくなるでしょう。
問題形式への対策
色々なショートストーリーズに触れましょう。下記のサイトではお話を読んだ後に内容のチェックシートがあり自分で勉強ができるようになっています。
learnenglish.britishcouncil.org
また筆者オススメの小説も併せて紹介します。小説といってもこちらはそれなりの長さがあるので、少しずつ読んでみましょう。
意味がわかるとゾッとする"The lottery"。くじ引きとはなんなのでしょうか?全て下記のサイトで読めるのでぜひ読んでみてください。
人の温かみと死を感じる名作も是非読んでみてください。
リーディング第6問 (配点24点)
問題の種類
説明的文章を読み、その要点や概要を把握する問題。Aはスポーツの安全性についての記事をもとに、概要をまとめたポスターを完成させる問題が出題されている。また、Bでは甘味料についての英文を読んで、内容についての質問に答える問題や表をまとめる問題が出題されている。単に英文を理解するだけでなく、文章の論理展開を把握したり、要約したりする力が問われている。(https://www.toshin.com/kyotsutest/analysis_reading.html)
問題の解き方
他の大問と同じく設問→問題文の順番にみていきます。大問6のようなニュース記事では各段落の最初の文を読むとその段落で何が言いたいのかが分かるようになっています。例えば、2段落目では最初に"The speed of the sport and the slippery of the ice rink make it easy for players to fall down or bump into each other resulting in a variety of injuries."という長い一文が出てきます。これを読めばこの後にそれを防ぐための予防策や怪我の内容が書かれるという推察ができます。それを手がかりに問題を解いていくことをオススメします。
問題形式への対策
日頃からニュース記事などある程度の長い文章+具体的な数字や専門用語が出てくる文章を読み文章がどのように作られているかを理解しましょう。そして自分が問題を作る人だったらどんな問題を出すかと考えてみると良いです。
ただいきなり海外のニュースを読むのは難しいのでそういう方にオススメのサイトを紹介します。
このサイトではレベルに応じた単語でニュースを読むことができます。リンクではIntermidiate(中級)を引用していますが、簡単すぎる場合は上級ものぞいてみてください。
時間があまり取れない方はこちらでも学習ができます。
出題に当たっての重要単語
第1: latest news (最新のニュース), delivery fee (送料), either A or B (〜か〜か)
第2: competition (コンクール), incredible (信じられない), On behalf of (〜を代理して、代表して)
第3: inexpensive (安い), recommend (勧める), transfer (乗り換える), roadworks ([英]道路工事), residents (在住者), reject (拒絶する/断る), passers-by (通行人), make a difference (重要である)
第4: attached (添付の), botanical (植物の), statue (像), unless 〜(〜でなければ)
第5: pregnant (妊娠している), permission (許可), no longer painful (もはや痛くない), on command (指令で), in particular (特に/とりわけ), massive (大量の),
第6: rubber (ゴムの), slippery (滑りやすい), concussion (脳震盪), suspensions and fines (出場停止と罰金), abundant (豊富な), artificial (人口の), excessive (過度の), substitutes (代用品), suit (適する), circumstance (環境)
総括
いかがでしたでしょうか。かなり長くなってしまいましたね。 これを読んで少しでも解き方が分かった!対策が分かったとなれば嬉しいです。
言語の学習は一夜漬けてできるようにはなりません。これはどんなスポーツでも楽器でも一緒です。毎日少しずつでもその言語に触れていくことをオススメします。
何か質問があれば気軽にコメントください。
では、また!!